コンパクトSUVのライバル同士であるマツダのCX3とホンダのヴェゼルをそれぞれの特徴的なエンジンタイプ【ディーゼル&ハイブリッド】で徹底比較してみました。本気で両者の購入を迷っている方の参考になれば幸いです。
大人気のコンパクトSUVシリーズ、この車格を検討されているなら間違いなく選択肢に入るであろうマツダのCX3とホンダのヴェゼル。きっと皆さん迷われることでしょう。この記事はそんな方のために様々な観点で徹底比較し、最終的にどちらが買いなのかを結論づけます。
【比較対象の車は2019年5月現時点で最新となる型式】です。
私はプロではありません。しかし、プロではないからこそ素人目線で、皆さんと同じ目線で比較することができます。 まずはディーゼル、ハイブリッドについて少しおさらいします。その上でどちらがいいのかを比較していきましょう。
CX3
マツダのCX3はガソリンモデルも備えていますが、一番人気となっているのはマツダに代表されるクリーンディーゼルエンジンモデルです。グレードでいう「XD(クロスディー)」ですね。その中でもCX3は「SKYACTIV-D 1.8」と呼ばれるタイプが搭載されています。
ディーゼルとは
ガソリンエンジンが給油でガソリンを入れるなら、ディーゼルは給油で軽油を入れるエンジンです。また、ガソリンはエンジン側で発火させて車を動かすのに対して、ディーゼルは燃焼性が高いため自然発火をさせて車を動かします。自然発火を制御するためには非常に精密で、性能がいい燃料ポンプが必要になるのでこのエンジンを搭載するには高度な技術力が求められます。
また、軽油であるため二酸化炭素の排出量が少なく環境にいいという面から、後述するハイブリッドとその環境面の良さを比較されることがあります。
本来なら高度な技術力が求められ、コスト的にもガソリンと比べると大幅に高いとされるディーゼルですが、先述した環境面の良さ、消費者にとってはガソリンと比べ軽油の方が燃費も良く価格も安いという価格面の良さ、そして技術が成熟してきたことから国内外様々な企業でこのエンジンを持つ車が生産されています。
ヴェゼル
ホンダのヴェゼルにはガソリンエンジンのグレードに加え、ハイブリッドのグレードが存在します。「HYBRID」と付くグレードがそうです。
ハイブリッドとは
ハイブリッドとは、ガソリンと電気モーターを組み合わせて車を動かすエンジンタイプのことを指します。トヨタの「プリウス」、「アクア」が有名ですね。ヴェゼルではグレードによってこのハイブリッドタイプを選択することができます。
ハイブリッド車は上記のCX3を販売しているマツダも含め各社販売していますが、ガソリンと電気モーター、どちらを使えばより快適に効率良く車を動かせるのかという技術の追求は各社で行われております。
ヴェゼルにはホンダ独自の技術である「SPORT HYBRID i-DCD」というエンジンが採用されています。
ディーゼルエンジンが環境にいいというのは、そもそも入れる燃料が軽油とガソリンで異なることからイメージしやすいと思いますが、ハイブリッドも燃費がいいとよく言われる理由をご存知でしょうか?
ハイブリッドは燃費がいいと言われる理由「回生ブレーキ」
ハイブリッドは燃費がいいとよく言われる理由、それは「回生ブレーキ」と呼ばれるエネルギー再利用の仕組みがあるです。
簡単に言えば、本来のガソリンエンジンは車を動かしている最中にブレーキを踏むと、無理やりタイヤの回転を止めようと動き、最終的には停止します。それは動かしていた車のエネルギーを無理やり熱として逃がすことと同じなのです。
その「逃したエネルギー」を電力に変換して、その電力でモーターを動かそうとしました。これにより、無駄に消費されるエネルギーは電気モーターの電力となり、そのモーターが動くことによってガソリンの消費は抑えられます。これがハイブリッドは燃費がいいと呼ばれる理由です。
ディーゼルとハイブリッド、どちらがいい?
CX3のディーゼルとヴェゼルのハイブリッドに関する知識をおさらいしたところでどちらがいいのかを、以下の観点で比較していきます。数値として表せないものは、私が試乗した結果出した結果どちらがよかったかを述べます。
- 燃費の良さ
- 環境への影響
- 静粛性
- 走行性
- 最終的なコスト
燃費の良さ
ここでは、CX3のディーゼルとヴェゼルのハイブリッドについて、燃費の違いを見ていこう思うのですが・・・どうやら、CX3とヴェゼルでは燃費を計測する試験方法が異なるみたいです。
CX3は「WTLCモード」、ヴェゼルは「JC08」モード
これまで日本で使われていた試験方法は「JC08モード」と呼ばれるもので、ヴェゼルではこちらが採用されています。一方、CX3は「WTLCモード」という試験方法を採用しています。
「WTLCモード」とは市街地モード、郊外モード、高速道路モードと3種類の燃費を計測し、最終的な燃費を計算する新しい試験方法です。この方法で計測されたカタログ燃費は実燃費との乖離が少ないと言われています。一方、「JC08モード」はカタログ値と実燃費の違いが大きいという問題があります。
これからの主流は「WTLCモード」に変わっていくと言われていますが、ヴェゼルではまだその試験方法を実施していないみたいですね。
燃費カタログ値(最新)
車種(2WD FF) | 燃費 |
CX3(ディーゼル) | (WTLCモード)20.2km/L |
ヴェゼル(ハイブリッド) | (JC08モード)27.0km/L |
結局どちらの方が燃費いいのか。仕方がないので、CX3の前年式の燃費情報を参考に比較させていただきます。
燃費カタログ値(CX3のみ2017年式)
車種(2WD FF) | 燃費 |
CX3(ディーゼル) | (JC08モード)23.0km/L |
ヴェゼル(ハイブリッド) | (JC08モード)27.0km/L |
上記の表を見るに、JC08モードとWTLCモードの差は約3.0km/L、ヴェゼルのハイブリッドがWTLCモードで計測されたとしても24.0km/L程でしょうか。
燃費はヴェゼルのハイブリッドが上のようです。
環境への影響
どちらがより環境への影響が少ないのでしょうか?
実はこれ、燃費に直結する問題なのです。
環境にいい
↓
二酸化炭素の排出量が少ない
↓
燃料の燃焼量が少ない
↓
燃費がいい
つまり、燃費がいいエンジンこそが環境にいいのです!
この項目は燃費のいいヴェゼルのハイブリッドが勝利です。
静粛性
どちらがより静かで快適な運転ができるのかを比較します。この項目は数値で表すことができないので、私が試乗した時の感想から判定しようと思います。
CX3のディーゼルはアイドリング時、加速時共にディーゼル特有の音がします。ガソリン車よりも音が大きいので気になる人はかなり気になってしまうという印象です。速度が安定してからは非常に静かで快適になりました。
一方ヴェゼルのハイブリッドはアイドリング時、加速時共にかなり静粛性が高いです。この辺りはさすがはハイブリッドだなという感想です。
静粛性という点においては圧倒的にヴェゼルのハイブリッドが強いです。
走行性
車といえば走り、燃費の良さや音だけでなく、どちらがより走っていて楽しいかどうかを比較していきます。
こちらについては非常に迷いました・・・。
CX3のディーゼルによるトルクの良さ、気持ちよく加速してくれるあの感じはやはりガソリンで味わうことのできない至高の走りです。
ヴェゼルのハイブリッドも素晴らしい。余計な息遣いがなく、スムーズに加速していく様は電気モーターを最大限に活かしていると言えるでしょう。
どちらの車も運転していて非常に気持ちがいいです。
強いて、好きなのはどちらかと言われたら・・・CX3のディーゼルです!!
最終的なコスト
本体価格から燃料のコスト、メンテナンスにかかる費用も含めてどちらが最終的にお得でコスパのいいエンジンなのかを見ていきます。
ガソリンと比較した本体価格の上昇値
ここでは、CX3とヴェゼルそれぞれベースグレードのガソリンからディーゼル、もしくはハイブリッドグレードに変更するときの本体価格の上昇値を見ていきます。
車種(2WD FF) | 本体価格 | 差額 | |
ガソリン | ディーゼル/ ハイブリッド |
||
CX3 | ¥2,127,600 | ¥2,436,480 | ¥308,880 |
ヴェゼル | ¥2,075,000 | ¥2,460,000 | ¥385,000 |
表から、ヴェゼル(ハイブリッド)よりもCX3(ディーゼル)の方が約8万円、安く異なるエンジンタイプのグレードに変更することができるとわかります。
CX3の方が本体価格の上昇値は低いので、この比較はCX3の勝利と言えるでしょう。
燃料のコスト
燃費がいいことと同じなので、ヴェゼルのハイブリッドが上です。
メンテナンスのコスト
ディーゼルはスス等を掃除するためにエンジンオイルが使われます。そのため、ガソリン車と比較して頻繁にエンジンオイルを交換する必要があるのです。
具体的にはガソリンが1年に1回と言われるところをディーゼルなら半年に1回、つまり2倍の金額がかかるということです。また、ディーゼルのエンジンオイルは少し高価と言われているので、2倍以上かもしれません。1年で2回、1回辺り5,000円とすると、10年で10万円といったところでしょうか。
ハイブリッドはガソリン車とは異なるハイブリッド専用のバッテリーが存在します。こちらは非常に高価で、現在約15万〜20万円と言われています。昔は約50万だったみたいです、時代の進化を感じますね。また、その交換頻度は高くなく10万キロ、10年に一度でいいみたいです。
ただ、頻度は低いですがハイブリッドもエンジンオイルを、ディーゼルもバッテリーを交換する必要があるのでトータルでかかるコストはどっこいどっこいなのではないでしょうか。
一つ言えるのは、ディーゼルやハイブリッドはガソリンより燃費がいいとはいえ、本体価格やメンテナンスのコストが高いので、本当にコスト重視&年間10,000kmも走らないという方はガソリンが一番おすすめです。
まとめ
ディーゼル、ハイブリッド共に各メーカーがどうすればより快適に、環境に優しく車を運転できるのかがよく考えられたエンジンでした。私は昔のディーゼルを知らないのですが、「カラカラ」とすごい音が感じられ冗談にも快適な運転とは評せないものだったみたいです。ホンダのハイブリッドも、今のようにガソリンと電気モーターを上手に使いこなすのではなく、メインはガソリンでパワーが必要な時に電気モーターを利用するという「パラレル方式」というタイプが主流でそれほど恩恵を感じることはできなかったみたいです。
どちらが上なのか、甲乙つけるのは非常に難しいです。
しかしこれは比較記事。結論を述べましょう。
この比較勝負・・・勝者は
ヴェゼルのハイブリッド!
私にとっての決め手は静粛性でした。走行性や価格で言えばCX3のディーゼルが若干上手だったのですが、この2点を重視しているかと問われれば、私はいいえと答えるでしょう。どちらがより快適なのかという観点で見た時に、ヴェゼルのハイブリッドが一歩上だったのです。
もし、ディーゼルのハイブリッドなんてものができたら・・・素晴らしいことになりそうですね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。他にも以下のような比較記事を書いているので、よろしければご覧ください。