映画【クロニクル】感想 ※ネタバレあり
LIFE!と同時に借りてきた映画、【クロニクル】。
なんとなくで手に取った作品なのですが、はてさて一体どういう映画なのでしょうか・・・。
ほんと、素晴らしい映画でした。
ふとしたきっかけで、有り得ない力を手にしてしまったら?
主人公はカメラ撮影が大好きな根暗ボーイ、アンドリューとその従妹のマット、そして高校で人気者のスティーブの三人。彼らはとあるパーティを抜け出して見つけた深い穴に入り、そこにあった奇妙な結晶と出会った。頭に響くナニカ、カメラの調子がおかしい。困惑の彼らはそのまま吹き飛ばれてしまう・・・。
そして気づけば、彼らはその身に【超能力】を宿していた。
普通の少年3人組
普通の超能力、ヒーロー映画であれば超能力を得た三人は様々な葛藤、時には論争、喧嘩・・・などを通して真の友情が芽生え共通の悪に立ち向かっていく!、みたいな展開になることが多いと思います。
しかしこの映画ではそんな普通の映画とは違う超能力モノを描いていて、それでもってよりリアリティです。
都合よく倒せば解決する悪役なんて出てきてくれません。
宝くじが当たって無一文から億万長者になるように、何もない状態から急に力を得てしまった彼らはどう振る舞うのか。己の力を御するのか、それとも・・・。
別々の道を辿る3人
スティーブに関してはあのまま生きていたらどうなっていたかわかりませんが、彼はアンドリューの犠牲という残酷な道を行ってしまいました。それをきっかけにアンドリューはどんどん堕ちていき、逆にマットは愛を知り力を人のために使いたいと思うようになっていきます。元々マットは力を人に向けることは許しませんでした。このあたりの違いも、今思えば最期の決別に繋がっていたのではないでしょうか。
導き手がいない、悲しい物語
スーパーマンには彼の父が、スパイダーマンには素晴らしい親族や恋人がなど主人公に正しき道を示してくれる存在がいました。しかしそこは【クロニクル】、現実はそんなに都合のいいものではありません。
最終的に堕ちてしまったアンドリューの傍には病気で寝たきりの母、ストレスで余裕のない父、もちろんヒロインなんていません。マットでさえも途中彼を見放してしました。せめてもの救いがスティーブだったのですが・・・上述した通り暴走したアンドリュー自身によって・・・。
リアリティある表現の素晴らしさ
超能力映画にリアリティとはまた変な話ですが、もし本当にそんな力を手に入れたら・・・きっとこんな感じなんだろうな、ロクでもないんだろうなと思わせられます。これが監督の伝えたかったことなのでしょうか。
MARVELシリーズやDCシリーズなどを観る事が多い僕ですが、この表現には衝撃を隠せませんでした。
最後に
救いがないこの映画ですが、大変楽しませてもらいました。
超能力みたいな力を持ってみたいという誰もが一度は思う願望に対するアンチな映画に僕は感じました。